籠目聖心女学院に通う綾掛 尤蚩(あやかけ ゆうし)は、
十一月のある放課後に屋上で、フェンスの外にいる門観 司(かどみ つかさ)と出会う。
「どうしてフェンスの外側にいるの」
「こちら側は、私にとっては内側なんです」
フェンスの外側が、一歩間違えれば命を落としてしまうような場所が、彼女にとっての内側。
「……わたしも、飛び降りる」
「え?」
「ひとりは、寂しいよ」
「……そうですね」
ほんの少しだけ彼女は微笑んだ。
心が通じ合ったわけではない。
だからせめて、体だけでも。
そしてふたりは、冬の屋上から身を投げた――――
Published: October 16th 2011 Updated: January 1st 1970